【GO!GO!雑種犬プロジェクト!への想い】
——<はじめに>—————————————————————
私は高校生の時にはじめて犬と家族になり、それ以来ほぼずっと犬と暮らしています。初代がシェルティ。2代目が雑種。3代目がシェルティ。そして今雑種。
純血種シェルティが容姿や性格、運動能力すべてにおいて限りなく大好きです。
そして2頭の雑種たちは、限りなく個性的で、これまた限りなく大好きです。
(2頭目の愛犬。人生はじめての雑種犬。マフィン。)
犬写真家として、公私ともども犬まみれ。今まで数先頭の犬たちと出会い、話をし、撮影してきました。そして同じ数だけ、飼い主さんや犬にかかわる様々な活動やお仕事をしている犬好きな人たちと話をしてきました。
——<犬たちを取り巻く現状について>————————————————————-
写真を通して動物啓発活動をするようになってからのこの10年。
犬たちを取り巻く問題はいろいろと変わってきています。
ここ数年は保護犬の知名度が上がり、それはほぼいいことなのですが、問題もあります。
いくつか挙げると、保護犬を飼っていることがステイタス化した保護犬至上主義。
犬が好きだからこそ純血種を愛し、大切に暮らしている人たちが肩身の狭い思いをするというおかしな風潮があるという事実があります。
そして、保護犬ビジネス。闇は深く、簡単に書けるようなことではないので、ココでは割愛します。
【殺処分ゼロをめざす】
とても大切なことです。たくさんの方々の善意によって、日本ではこの数年で急速に殺処分数が減っています。
しかし、現在流通過程での犬の死亡数が殺処分数をはるかに超えています。(※1)
流通過程での死亡とは、ペットショップなどで販売用の子犬や子猫、繁殖用の親犬や親猫が、ケガや病気、ストレスなどで、裏側で人に知られずに消えていく命です。
「欲しい時に気軽に買いたい」「流行り犬種が欲しい」「めずらしい犬が欲しい」「ちっちゃい仔犬が欲しい」「犬種の中でもサイズの小さい犬が欲しい」
そんな人間のエゴを満たすために、見えないところに辛すぎる犬たち・消えていく命がたくさんいるのです。
(↑ノコちゃんは野犬風に撮影したかわいこちゃんです。)
殺処分数が減少している背景は、県によっては今までの努力により野犬が減ったことも一つの要因です。でも、まだ日本中には野犬問題は多々あります。
そして殺処分しないということは、その分、動物愛護センターや保護団体さんのもとで新しい家族を待っている保護犬たちが増えているということです。
最近は保護犬の認知度が上がり、保護犬を迎える方が増えてきました。しかし、日本人の好みや住宅事情もあり、小型犬や純血種が好まれ、10キロを超える中型・大型の雑種たちは譲渡が難しい傾向があります。10キロ〜20キロ超え位のたくさんの雑種の保護犬たちが日本中で家族を探しています。
(2016年撮影の神奈川県動物保護センター。雑種と流行りの柴犬と棄てられた猟犬たちがいつもいました)
一方で、ここ数年、空前のミックス犬ブームが起きています。
ミックス犬は雑種犬と違い、人間が意図して作ります。
最初は、プードルの血を入れると毛が抜けなくなるから、、、など、交配の目的があったように感じますが、ここ1・2年は、ただただ外見の可愛さと珍しい犬を作れば売れるという悪しき傾向が見られます。
ミックス犬たちは雑種なので強い、という売り文句がありますが、純血種を掛け合わせるということはそれぞれの遺伝子疾患の傾向をダブルで持っているということです。これは性格についても同じです。いい面も悪い面もダブルです。性格が読めず手に負えずトレーナーさんに駆け込む人も多いようです。
性格度外視の闘犬系と和犬を掛け合わせたようなミックス犬もいます。ペットショップでかわいい〜と犬初心者の方が買ったなら・・・。人によっては犬も飼い主も悲劇です。
そして特に最近問題だと感じるのは、超大型・大型犬と小型・超小型犬のミックス犬が作られていることです。「小型の方が飼いやすいから」という理由でかけ離れたサイズの犬同士人工交配させる。 冷静に考えれば、成長の過程で体に支障が出る可能性が高いことがわかると思うのですが。無理に作られ体に生活に支障が出る。犬たちにとっては迷惑な話だと正直思うのです。
(↑シリアスブリーダーから迎えた3代目愛犬。ゴマシオーネ。ブリーダーさんとは旅立つまでずっとお付き合いが続きました。)
犬種を愛し、護ろうとしているシリアスブリーダーさんたちは、決してミックス犬を作りません。ペットショップなどで売られているミックス犬の両親は、ほとんどが劣悪な環境で生きています。犬としての生きる幸せを奪われています。産んでは取り上げられる仔犬たちも、幼くして小さな段ボールに入れられてセリにかけられ、流通過程で3%は命を落とす。無理な交配は死産も多いです。
人間が何も考えずに「めずらしい犬が欲しい〜」「ちっちゃい犬が欲しい〜」「今すぐこういう仔犬が欲しい!」と安易に欲しがることが、見えない場所で犬たちを苦しめているのです。
——<犬たちはみんな同じ命>—————————————————————
ペットショップが悪い。悪徳ブリーダーが悪い。(これはたしかにそうですが)
ペットショップから迎える人が悪い。保護犬を飼ってる人はエライ。純血種やミックス犬を飼っている人は保護犬のことわかっていない。などなど
人間は何かと、誰かを責めたり、だれかと比べたりしがちですね。
ミックス犬たちも純血種たちも雑種犬たちも、ブリーダー出身の犬も、保護犬たちも、ペットショップ出身の犬たちも、すべての犬は同じように素晴らしく尊い命です。
どんな生い立ちのどんな犬を飼っている人も同じように愛犬を愛しています。
優劣はなく、責め合うことはナンセンスだとおもうのです。
犬たちが自分たちをみんな多様でみんな同じ命だと思っているように。
犬を取り巻く現状を知って、次迎えるときや、犬を飼おうとしている友人知人に伝えて、今からを変えていくことが大切です。
愛犬の幸せとおなじように犬全体の幸せを考えられたら、犬を取り巻く環境は確実に変わります。
儲からなければペットショップや悪徳ブリーダーは自然と衰退していくでしょう。
——<犬たちのしあわせのために>————————————————————-
そして、こんな時代だからこそ、声を大にして言いたいことがあります。
「珍しい犬を求めるなら、わざわざ作らなくても雑種犬がいるじゃない??まさに唯一無二だけど?」
私は二頭の雑種犬たちと暮らし、友人知人にもたくさんの雑種犬たちがいます。
みんなそれぞれに美しく、外見も性格も個性的で、あまりにも素晴らしい犬たちです。純血種の場合犬種によりある程度性格が読めるのですが、雑種犬は付き合ってみるまで分からず、思わず腹を割って話したくなる。そこも魅力的なのです。
(海でヒトメボレした雑種犬、ちまきちゃん。)
雑種犬の魅力を写真で本気で伝えることで、雑種犬と暮らしたい!と本気で思う方が増えたなら。
日本中にたくさんいる保護犬たちが幸せになり、見えない場所で不幸に暮らしている犬たちが救われ、人知れず消えていく命が少しでも減っていく。
ここで忘れてはいけない事。
犬を大切にするということは純血種を大切にすることも大事です。
大好きな純血種をシリアスブリーダーから迎えることも、保護犬を減らし、不幸な暮らしをしている親犬や、たくさんの亡くなる命を救うことにつながります。
犬たちのことを想うなら、犬を迎える選択肢は、
シリアスブリーダーから純血種を迎えるか、雑種犬を含む保護犬を迎えるか
基本ほぼこの二択です。(細かく言うと例外もありますが)
大好きな純血種を選ぶように、大好きな雑種犬を選ぶ。
雑種犬を選ぶことが、ステイタスでもなく、かわいそうだからという理由でなく、ただただ好きだからあなたと暮らしたいという気持ちでありますように。
ステキすぎるから暮らしてみたい!と思ってもらえますように。
そんな時代を目指して。
雑種犬たちの魅力を本気で伝える!
GO!GO!雑種犬プロジェクト。
スタートします!
※現在の相棒Danbow。二頭目の雑種犬。
※1 2018年度、犬の殺処分数は7687頭(環境省発表)、流通過程の死亡数19763頭。この中に死産は含まれません。(朝日新聞記事による)流通頭数の約3%が死亡しているそうです。2022年度犬の殺処分数は2434頭。流通量は数字が見つけられませんでしたがコロナ渦で増えていました。